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新人研修だけがトレーニングではない!
中長期育成計画の見直しが品質向上を導く

2011年6月1日
顧客は「正しさ」だけではなく、共感や親しみもあわせて評価する。だが、オペレータ研修は新人に対する業務知識の詰め込みに偏重している。顧客の期待に応えるためには、新人研修のみならず着台後のスタッフも含め、モニタリングと連動したトレーニングプランを構築することが有効だ。

 今回は、HDIサポートセンター国際認定(以下SCC国際認定)の従業員管理の1つ、「トレーニングプラン」について紹介する。

 オペレータ向けの研修は、どうしても商品・サービスをはじめ業務知識の習得に集中する。しかし、顧客の要望には、「ビジネスニーズ」(正しい回答)と「心理的ニーズ」があり、一般的にCSの75%は心理的ニーズからなると言われる。つまり、顧客は、「正しい回答」だけを求めているわけではない。「私の気持ち・状況を理解してほしい」という期待を満たす必要がある。
 これは、当社で実施している「問合せ窓口格付け調査」でもみてとれる。同調査で収集したコメントには、「親身に共感していない」「マニュアル通り」などの不満の声がある。一方で、満足のコメントとしては、「親しみがある」「共感が伝わる。役に立ちたいという気持ちが伝わった」「丁寧で、適度な距離感」など。“共感”“一生懸命”といったニーズを満たすか否かが、評価の別れ目のようだ。
 また、同じ丁寧な対応も“よそよそしい”と取られるか“丁寧”と受け止められるかは顧客による。オペレータは、その顧客がどのような対応を求めているかを察知してサービスを提供しなければならない。
 このように業務知識だけでなく、いかに顧客の気持ちを理解できるサポートスタッフを育成するかがCS向上のカギだ。実際に、顧客の心理的ニーズを満たす教育は、どのくらいのセンターで行き届いているだろうか。
表1 新人スタッフに対するトレーニング方法

“馴れ”が応対に悪影響ベテランこそ教育が必要
 新人オペレータの教育手法は、HDIプラクティス&サラリーサーベイ2009の調査結果を見ると、「オンザジョブトレーニング(OJT)」がもっとも多く、「先輩による指導」が次に続く(表1)。一方で、配属後のスタッフを対象としたトレーニングプランはどうだろうか。表2にあるようにほとんど実施されていないのが実状だが、ベテランの教育こそ実は注力すべきだ。横柄な対応や、手慣れた感じで淡々と事務的に「処理」する対応はベテランにこそ多い。また、顧客の期待は進化し続けるものだ。
センターの応対品質も常に進化し続けなければならない。新人以外のスタッフにもトレーニングは必要だろう。
表2 サポートスタッフが年間に受けるトレーニング日数(新人以外)

高評価コールを“盗み合い”品質向上の近道は「真似」にあり
 トレーニングは、前号で述べた「職務内容定義」と連動させながら計画していくべきだ。また、集合研修だけでなく、個別指導も実施することが望ましい。
 以下では、モニタリングをベースにPDCAサイクルで応対の改善を図ったセンター、高評価のコールを共有することで応対スキルを伸ばしたセンター、2社の事例を紹介する。
表3 クオリティの評価基準

 HDI-Japanが、表3の基準でコールモニタリングを毎月実施する某企業では、その結果を用いて、以下のプロセスでフィードバックを実施している。@評価対象のコールを品質管理担当者とサポートスタッフが一緒に聞く、Aサポートスタッフが自己評価、B品質管理担当者がモニタリング評価をフィードバック、C自己評価とのギャップの原因を探る、D改善―という流れだ。こうしたモニタリング指導を繰り返すことで個々の応対を改善し、さらに副次的な効果として、センター内全体の士気向上を促した。

 一方、バイリンガル(日本語・英語)でサポートサービスを展開している別の企業では、当社が評価した結果、スコアの高いコールをセンター内に公開している。これにより、「良いコールを聞いて、他人の良いところを盗め」と促している。クッション言葉を使うタイミングをはじめマニュアル化しにくいノウハウを共有するのに役立っているという。新人や、外国人スタッフの日本語対応は、一朝一夕に改善されるものではないが、同センターは、こうした仕組みで、異例の速さで応対スキルの向上を実現したという。
 このように、モニタリングをベースに行える育成法はさまざまある。

長掛 文子
HDI-Japan ビジネス統括部長

月刊コンピューターテレフォニー2010年11月号掲載」


本講座は、次回よりHDIメンバー機関誌「HDIサポートワールド」にて引き続き連載いたします。
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